社長メッセージ

当連結会計年度(2022年11月1日から2023年10月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類へ移行したことに伴い、個人消費やインバウンド需要に回復の動きが見られました。一方で、米国・欧州におきましては急激なインフレに対応するため、急ピッチの利上げ政策がとられ、日米の金利差拡大による円安が進行し、日本国内におきましても輸入品目を中心に物価の上昇が進みました。経済活動の正常化に伴い、人手不足に起因する賃金上昇が続くなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。外食産業におきましては、コロナ禍の収束に伴い、人流が改善するなどの回復傾向がみられる一方で、コロナ禍を通じた生活様式の変化や節約志向の高まりも顕在化してきております。また、原材料価格や物流費、人件費、光熱費の上昇といったコスト増の影響もあり、厳しい経営環境が続いております。このような状況のもと、当社グループは、抗菌寿司カバーを始めとする安心・安全に関するさまざまな取り組みを行いながら、回転レーンを通じて、回転寿司本来の手軽さと楽しさを追求してまいりました。店舗開発につきましては、国内23店舗、米国10店舗、台湾6店舗に加え、上海に3店舗を出店し、計42店舗となりました。この結果、当連結会計年度末の店舗数は、全て直営で649店舗(「無添蔵」4店舗、「くら天然魚市場」1店舗、米国50店舗、台湾53店舗、上海3店舗を含む)となりました。以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,114億5百万円( 前年同期比15.5%増)、経常利益28億82百万円(同17.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億63百万円(同15.9%増)となりました。


セグメント業績は次の通りであります。

<日本>

人流が回復してきたことに加え、コストアップに対応するため、きめ細かく適正に商品設計させていただいたことが奏功し、収益面の改善に貢献いたしました。販売面におきましては、2023年4月から地域の旬の地魚を毎週お楽しみいただける「くらの逸品シリーズ」を本格導入し、2023年7月より取り扱いを全国に拡大しております。また、「かに」「まぐろ」など人気の高い商品を中心としたフェアを展開したことに加え、人気アニメ「ポケモン」や「呪術廻戦」とのコラボレーションによるグッズプレゼント等のキャンペーンを実施したことにより、当連結会計年度における売上高は過去最高となりました。店舗展開につきましては、グローバル旗艦店として、日本国内5店舗目(関西2店舗目)となる、「なんばパークスサウス店」を2023年7月にオープンいたしました。都市部を中心に、急速に回復するインバウンド需要の取り込み強化を図っております。くら寿司では、お寿司が回るエンターテインメント性を大事にし、回転寿司本来の“楽しさ”を提供してまいりました。当社独自の抗菌寿司カバーを活用し、回る寿司の楽しさを感じていただくとともに、お客さまが入れ替わるごとに、醤油差しなどの備品を入れ替え、安心・安全に食事ができる「クリーンテーブル」を推進しております。以上の結果、売上高1,638億61百万円(前年同期比9.3%増)、経常利益13億81百万円(前年同期比18.7%増)となりました。

<北米>

米国子会社 Kura Sushi USA,Inc. (KSU)におきましては、米国経済が堅調に推移したことに加え、期初より出店を継続してきたことが奏功し、当連結会計年度は売上高、収益面ともに好調を維持いたしました。2019年8月のNASDAQ上場以降で初めて、通期におきまして経常利益の黒字化を達成いたしました。以上の結果、売上高259億75百万円(前年同期比51.3%増)、経常利益2億47百万円(前年同期は経常損失82百万円)となりました。

<アジア>

台湾子会社 亞洲藏壽司股份有限公司(KSA)では、新型コロナウイルス感染症による影響は無くなり、消費の回復傾向から売上高は順調に推移いたしました。販促面におきましては、人気アニメ「名探偵コナン」や「クレヨンしんちゃん」のグッズプレゼントを採用するなどの取り組みを継続いたしました。また、2023年5月には海外店初となるグローバル旗艦店である「高雄時代大道店」をオープンし、当連結会計年度の業績は前年同期間対比で、増収増益を達成しております。上海藏寿餐飲管理有限公司(KSS)では、2023年6月に上海での1号店となる「龍之夢中山公園店」を開店しました。その後も2店舗を続けて出店し、当連結会計年度末の上海での店舗数は合計3店舗となりました。以上の結果、売上高215億67百万円(前年同期比35.3%増)、経常利益は14億65百万円(前年同期比1.9%増)となりました。


株主・投資家の皆様には、一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。


2024年1月
代表取締役社長
田中邦彦

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