日本の伝統・文化の復活を願って。

20世紀中盤以降、日本経済は大きな成長を遂げました。その背景には日本人の「勤勉さ」「綿密さ」「良心」といった、伝統・文化があったと言われています。

私の生まれた家は、田舎の小さな八百屋でした。
当時の田舎にあった八百屋は野菜以外の食べ物や生活必需品など、いろいろな物を売っていました。私の家もそうで、小学生だったころは、毎日、学校から帰ると家業を手伝っていました。
当時の田舎の家庭では、それが当然でもありました。

ある日学校から帰ると、「しきみ」を綺麗にするようにと言われました。
しきみというのはお墓や仏前に供える植物のことで、その葉を1枚1枚きれいに拭き取り、かれたものを取り去るように言われたのです。祖母と二人で何万枚という葉を半日かけて掃除するのですが、まだ幼かった私には苦痛以外の何者でもありませんでした。

一時間も経つと、すっかりだらけてしまう始末。
その様子を見て、日頃はやさしい祖母が「おまえは、どこから生まれた?」と少し厳しい声で言いました。

そして祖母はこう続けました。
「お父さん、お母さん、そして祖先が居たからこそ、おまえは今ここに居るのではないか。このしきみは、お客さんが祖先に供える感謝のしるしじゃ。お客様がドロのついたしきみを供えてもええのか。お客様に申し訳ないと思わんか。」

このようなことが、ごく平凡な家庭で、どこにでもあったのです。
私はこれが「日本人の良心」だと思います。その良心が、今、失われつつあります。
法に触れなければ何をしてもよい。金を持った者が勝つ。一流大学に入るのが全て。
一部の農家は、多くの農薬を散布し、自分たちの食べるものは別に作っているという有様。

私たちの食品業界でも例外ではありません。
CMだけで売上を伸ばし続ける会社。肝心の商品作りはほとんど外部委託。
経営者自身が、自分たちの作った商品を口にしない。そんな商品を平気で作り、売る。

多くの寿司チェーン店も同じ。寿司メシを作るのに大事なあわせ酢を、平気で外部に作らせる。
味付けに多くの化学調味料を使う。合成着色料、人工甘味料、人工保存料を使う。
多量の化学物質が体に入ろうとも、法に触れなければなんとも思わない。

厚生省が決めたから、それで良いという。
自分たちの子供に、そのような商品を毎日食べさせることができますか。
近年増加の一途をたどるアトピーは、本当にダニのせいなのでしょうか。

私たちは、見えないところこそ大事にしたいと思っています。それが本来の日本文化。
今こそ、日本の食文化の代表であるお寿司を通して、すばらしき日本を再構築すべきです。
そして、それを世界に伝えようではありませんか。

代表取締役社長 田中邦彦

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