くら寿司 ニュースレター2023年8月号
ブレンド米の再注目により、ごはん人気が再燃!?
8月18日「お米の日」は、くら寿司こだわりのブレンド米に注目
― 精米のプロが教える!おうちで美味しいごはんを炊くポイントも公開 ―
一昔前のブレンド米といえば、「銘柄米」に比べて安さ重視で味が落ちるイメージでしたが、近年、美味しさや食感、味の安定を追求したブレンド米が注目されています。
これまで新潟県産コシヒカリなど銘柄米を採用するおにぎりが主流だったコンビニ業界にも、ブレンド米の新風が吹いています。今年3月、大手コンビニチェーンと京都の老舗米問屋がタッグを組み、ブレンド米の良さを活かしたおにぎりが発売され、大きな話題となりました。
米食が推進されている学校給食の現場でも、「単一銘柄では万一の際の調達不安もある」と、ブレンド米で調達リスクを回避する事業者が増加傾向にあります。収穫量が多く、味が安定しているのもその一因です。岩手や宮城が産地の「萌えみのり」や、茨城や千葉の「あきだわら」といった品種はブレンド米に適しており、リーズナブルで人気があるそうです。
さらに、ロシアのウクライナ侵略や世界的な不作で小麦の価格が上昇し続けているのに対し、米の価格は比較的安定しています。農林水産省は、製粉業者などに売り渡す輸入小麦の価格を2022年4月期に17.3%、2023年4月期はさらに5.8%の引き上げを発表しました。その一方の米は2021年産の米の相対取引価格は、前年より1割ほど下がっていることから、家計に優しい米食への注目が高まっています。
タイガー魔法瓶が実施した上記アンケートでは、70%以上が、「お米を食べる量を増やしたい」と回答、「3食の中でごはんを食べる割合を増やす」「朝食をパンからごはんに切り替える」など、日常生活に取り入れる傾向が見られます。
このような米食人気の再燃と価値が見直されるブレンド米について、20年以上前からブレンド米のシャリを使用したお寿司を提供しているくら寿司がご紹介いたします。
※「米の日」の由来については諸説ありますが、8月18日は「米」という漢字を分解すると八・十・八になることから、「米の日」と呼ばれているという説が有力です。
くら寿司で提供するシャリの味を支えているのは
精米のプロフェッショナルによるブレンド&削りの技術
昨今、味へのこだわりからブレンド米が採用されたことが物語るように、単一銘柄では辿り着けない美味しさを求め、ブレンド米を選択する企業が増えています。単一銘柄でできることは、精米方法を変えることだけ。ですが、ブレンド米は、どんなお米を何種類ブレンドするのか、どんな割合で配合するのか、どのような精米を施すのか、によって可能性は無限に広がり、限りなく理想に近い味を実現することもできるのが魅力です。
くら寿司のブレンド米を大公開! 3銘柄をブレンドして最適解を導き出す
くら寿司のシャリは「宮城県産 ひとめぼれ」、「北海道産 ふっくりんこ」、+α(国産米※企業秘密)、という3種類をブレンドしています。(2023年7月現在)
一つ目の「宮城県産 ひとめぼれ」は、食べた瞬間に鮮明に感じる甘みが特徴で、シャリの先味を担います。
二つ目の「北海道産 ふっくりんこ」は、噛めば噛むほど上品な甘みが広がり、シャリの後味を担います。
最後の国産米はいわばバランサー、「宮城県産 ひとめぼれ」と「北海道産 ふっくりんこ」の持ち味に寄り添いつつ、その2銘柄の年度による差異と、くら寿司の理想系を加味して微調整する役割を担う為、時季により様々なブランドを選定しています。また、お米は精米後から劣化が始まってしまうため、美味しい新鮮な状態で食べていただけるよう、精米後4日以内には全国の全ての店舗にお米を納品しています。
3銘柄の持ち味を活かしきる、こだわりの削り・精米の技術
美味しいごはんの必須条件は、お米のタンパクの細胞膜を壊さず、均一なふくらみをもたせることです。そのため、20年以上、くら寿司のお米をおまかせしている阪神米穀では、精米の際に米粒に無理な力を与えず、お米のでんぷん質を逃さない丁寧な精米方法である、低温精米が行われています。
精米の段階は、①玄米の表面に傷を入れる ②摩擦で糠層を削る ③表面を磨くという3段階に大別されます。
この精米作業を任されているのは、阪神米穀内でも5年以上の経験を積んだ精米士2名のみ。すし酢の浸透具合を予測しながら、お米の甘みが終始感じられる、くら寿司独自のブレンド&削りを施しています。
精米機
ブレンド計量機
くら寿司と20年来のお付き合いが続く“精米業界のトップランナー”
阪神米穀株式会社 田中 隆 代表取締役社長 のコメント
くら寿司様をはじめとする外食産業の発展とともに、ブレンド米は進化を続けております。『新しい美味しさに出合いたい』という消費者のニーズを外食産業が受け止め、外食産業のご要望を私たちが叶えていく。その繰り返しによって、各産地のブランド米に引けを取ることのない、より美味しく、より安定したブレンド米が存在する、といっても過言ではない時代が来たと感じています。
お米は自然の産物であり、同じ地域の同じ銘柄であっても、年度によって味が多少異なるのは当たり前です。玄米、精米後のお米、合わせて60個のタンクで保管するお米それぞれの持ち味を把握し、調整し続けるのが私たちの仕事。夏には夏の体が喜ぶ甘みや口当たりになるよう、割合も削り具合も微調整しています。くら寿司様のレベルの高い要望にお応えしながら、いつ、どこで食べてもハッとするほど美味しい、そんなブレンドを研究し続けていきたいと考えています。
「阪神米穀」直伝 基本の炊き方をマスターしてさらに美味しく、
おうちでつくる絶品ごはん
柔らかく甘みがダイレクトに伝わる軟質のお米、しゃっきり甘みが後からくる硬質のお米など、日本には多様なお米が存在します。同じ銘柄でも産地によって、また同じ銘柄・産地であっても年度によって、味が異なるというのもお米の魅力かもしれません。夏場はしっかり目の甘みが少し負担に感じる人は、九州、四国、太平洋側で生産される硬質系のお米を選ぶと、後味さっぱり美味しく召し上がれるでしょう。
あれこれ食べ比べ、好みの銘柄が見つかったら、次に身につけたいのが炊飯方法の基本ルールです。
今回は、お米本来の美味しさをおうちで楽しみたい、そんな方にお勧めの粘り、甘み、見た目の三拍子が揃うごはんの炊き方を阪神米穀にお教えいただきました。水量を調整することで、美味しい酢飯も作ることが出来るので是非お試し下さい。
1.計量
お米の計量カップで計量する場合、左右交互の手で入れながら計量カップを山盛りの状態に。そこからお米をすり切りにします。
こうすることで、均一な量をカップに入れることが出来ます。
2.洗米①
水を切る→手の平で20回ほど押すように優しく洗う→水を注ぐ、を水が透明になりすぎない程度で2回ほど繰り返し、炊飯器にお米を入れます。
4.加水
準備したお米に対して、炊飯器の目盛り通りに加水します。(電子秤がある場合は、洗米する前のお米の重量に対して1.35~1.4倍の水を加水するとよい)
※酢飯を作る場合は、炊飯器の目盛りより低く、通常より5〜10%少なめの水分量で加水します。炊いた後に合わせるすし酢の水分を考慮して加水することがポイントです。
5.浸漬
夏場で30分以上、冬場で60分以上の浸漬を行います。季節によって時間が異なるのは、水温によって水の吸水スピードが変わるためです。※冷蔵庫に保管しているお米を使用する場合は、お米が冷えているので冬場の時間で浸漬しましょう。
6.炊飯準備
沈殿したデンプンによる焦げ、炊きむらを起こさないよう、2~3回ほど底からかき混ぜ、さらに指で表面を混ぜてお米の表面を平らにします。
7. 炊き上がり
炊き上がったら、炊飯器の上部と下部の水分量を均一にするため、素早くかき混ぜます。まず十字形にしゃもじを入れ、底からかえしながらお米をほぐしていきます。
※酢飯を作る場合は、この後すぐにごはんを桶やボウルに移し、なるべく早くにすし酢と混ぜること。すし酢を吸収しやすい状態を逃すことなく、膨らんだ状態のお米を混ぜていきます。それさえ守れば、すし酢の味がよく入りお米にハリのある艶やかな仕上がりになります。
くら寿司で提供するシャリのクオリティにぶれは禁物
全国500店舗以上のシャリを厳しくチェックするシャリマイスター
新鮮なネタはもちろんのこと、シャリへのこだわりを貫いてきたくら寿司。最良のブレンド米と合わせるすし酢も、味の決め手となる重要な要素です。日本全国から選りすぐった生酢・天日塩・砂糖・天然だしなどを使ったすし酢のレシピを知るのは、社内でも限られた人間だけです。また、選りすぐったお米と秘伝のすし酢のポテンシャルを活かすよう、各店舗で炊き方やすし酢の合わせ方を統一。全国各地のどの店舗で食べても、変わらず美味しいシャリを提供できるよう努めています。
合計16名のシャリマイスターが毎月シャリチェック
炊き上がったお米とすし酢を合わせたシャリを、全国500以上ある店舗の店長がチェックします。さらに関西7名、関東6名、九州3名、合計16名(2023年7月現在)のシャリマイスターによる、毎月のシャリチェックを欠かさず行っています。各店舗で作ったシャリを専用容器に入れ、精米日や炊飯日、炊飯の時間帯などデータを記載した用紙を添付し各エリアの本部に運搬。硬さ、ツヤ、すし酢ののり具合などが基準値に達しているか、シャリマイスターが実際に試食して判断します。1、2粒を口に含むだけで、シャリが合格基準に達しているかわかるほど、繊細な味覚を持つシャリマイスターは最後の砦。いつ、どこで食べても美味しいシャリの品質を守っています。
もしも、合格基準に達していない場合は店舗に連絡し、スーパーバイザーが現場を訪問。基本に立ちもどり、マニュアル通りに炊飯や酢合わせができているか入念にチェックします。炊き上がりから酢合わせを開始するまでのスピード、最後の一滴まですし酢を入れているかなど、どの工程に問題があるのか原因を突き止め、些細な誤差を調整しています。
1年間で東京ドーム640個分!
お米を知らずしてシャリは作れない!研修や勉強会を実施
くら寿司では、年間で約14,000トンのお米を使用しています。1年間で使用するお米を育てる為には、約3,000ヘクタールの田んぼが必要となり、これは東京ドーム640個分の面積に相当します。
日々多くのお米を使うくら寿司では、社員研修の一環としてお米の生産者様、阪神米穀の指導の下、店長の田植え体験を毎年実施しています。実際に生産現場に触れることで、食材へのありがたみ、生産者様への感謝が芽生えるとともに、食の安全・安心を担っているという意識も向上します。また阪神米穀による勉強会を開催していただき、炊飯ルールへの理解を深めています。
※こちらはニュースレター抜粋版になります。ニュースレター全文には参考資料として「米食人気の再燃とブレンド米に関する各社の動き」も記載しております。