漁業の持続可能な発展のために、新規就業者確保への支援
「出世U王 未来の漁師誕生!次世代型、漁業就職フェア!」
全国漁業就業者確保育成センターへの寄付金を一部活用し開催
くら寿司天然魚バイヤーが参加者と交流 次世代の人材確保に向け協力
回転寿司チェーン「くら寿司」を運営するくら寿司株式会社(代表取締役社長:田中邦彦、所在地:大阪府堺市)が協力した「出世U王(うおう) 未来の漁師誕生!次世代型、漁業就職フェア!」(主催:一般社団法人全国漁業就業者確保育成センター)が2022年3月5日(土)、大阪で開催されました。当イベントは、当社が漁業の持続可能な発展に貢献するため、「循環フィッシュ」(※)の売り上げの一部を同センターに寄付し、これを一部活用する形で開催されたもので、当社の天然魚バイヤーも参加し、参加者との交流を通じ、次世代の漁業を担う新たな人材確保を後押ししました。
当イベントを開催した全国漁業就業者確保育成センターは、漁業の新規就業者を発掘するため、就労に関する情報提供や新たな漁業の担い手を確保・育成することを目的に活動しています。その一環として、新規漁業者を求める漁業団体と就業希望者とのマッチングを図る「漁業就業支援フェア」を定期的に行っています。
今回のイベントには、就業希望者約40人と、水産会社や漁業組合など14の漁業団体がオンラインも含めて参加。漁業団体がフリップを使って仕事内容ややりがい、職場の雰囲気などについて自己紹介する一方、漁業就業希望者は、各団体のブースを回って漁業への思いを伝えたり、仕事に関する疑問点について相談したりするなど、お互いにコミュニケーションを図りました。
また、くら寿司天然魚プロジェクトマネージャーの大濱喬王も参加し、漁業関係者様と消費者であるお客様をつなぐ存在として、漁業の持続可能な発展のために当社が進めている取り組みについて講演しました。
イベントでは、参加者同士が積極的にコミュニケーションを図る様子が見られ、当社としてもイベントを通じて1人でも多くの担い手が誕生することを期待しています。多くの水産物を取り扱い、飲食インフラの一端を担う企業として、今後も漁業の持続可能な発展のため、漁業創生の取り組みをこれからも推進してまいります。
※「循環フィッシュ」…国産天然魚の骨やアラなど商品化しにくい部位を魚粉に加工し、餌に使用する魚粉の一部として活用して育てた魚
イベント概要
【日程】 2022年3月5日(土)12:00~17:05
【場所】 グランフロント大阪
【主催】 一般社団法人全国漁業就業者確保育成センター
【後援】 水産庁
【協力】 くら寿司株式会社
【企画・運営業務全般】 株式会社マイナビ
イベントの様子
漁業団体の自己紹介
各漁業団体との相談会
くら寿司の「漁業創生の取り組み」に関する講演
取り組みの背景
国内の漁業従事者は、不安定な収入と労働環境の厳しさなどが一因で若者の漁業離れを招き、減少傾向にあります。こうした中で、漁業の持続可能な発展は喫緊の課題であり、SDGsでも目標の1つに掲げられています。そこで、限りある海洋資源を守るとともに、国内の漁業者の皆さまとの共存共栄を目指す「天然魚プロジェクト」を始めとする「漁業創生の取り組み」を2010年から進めています。この取り組みの一環として、昨年度に続き、「循環フィッシュ」の売り上げの一部を全国漁業就業者確保育成センターに寄付いたしました。
循環フィッシュとは、仕入れた魚をすべて使用する「さかな100%プロジェクト」から生まれた商品で、国産天然魚の骨やアラなど商品化しにくい部位を魚粉に加工し、餌に使用する魚粉の一部に活用して育てた魚です。「みかんサーモン」や「みかんぶり」などをこの取り組みの商品として、お客様に提供しています。
養殖用の餌は価格の高止まりが続いており、養殖業に携わる方々の経営を圧迫する要因となっていますが、この取り組みによって、餌のコストダウンを実現することができています。これにより得た収益の一部を、新たな漁業就業者確保のために還元しています。
私たちが魚を食べることができるのは、漁業に携わる方々がいてくれるからこそであり、漁業就業者の減少と高齢化が進む中、漁業の担い手確保の一助となればと考えています。
くら寿司の「漁業創生への取り組み」
○天然魚プロジェクト(2010年~)と一船買い(2015年~)
子や孫の代まで、日本の魚が食べられる未来を創造し、漁業者様との共存共栄を目指す当プロジェクトでは、全国110か所の漁港・漁協様と直接取引し、新鮮な魚を仕入れています。2015年には定置網にかかった魚を丸ごと買い取る「一船買い」を開始。定置網で獲れた魚を重量に応じて年間契約で決めた価格で買い取るため、漁師さんは市場価格に左右されずに、また、あまり流通していない市場価値の低い魚でも引き取ってもらえるメリットがあります。一方、当社にとっては、豊富な魚種を安定して仕入れることができます。漁師さんには、収入の安定という形で還元できる仕入れ方法といえます。
○さかな100%プロジェクト(「循環フィッシュ」の販売)(2018年~)
国産天然魚の商品にできない部位を魚粉にし、養殖魚のエサの一部に活用。このエサに柑橘類のオイルや皮などを混ぜて養殖し、「みかんぶり」や「みかんサーモン」などの「フルーティーフィッシュ」として販売しています。養殖用エサは価格高騰が続き、生産者の方々の負担にもなっていますが、エサ代のコストダウンにも成功。また、仕入れた魚をすべて丸ごと使い切ることで、貴重な海洋資源の保全、SDGsの達成にもつながります。
○天然魚魚育(うおいく)プロジェクト(2019年~)
市場に出荷しても値が付きにくい定置網にかかったハマチやタイの未成魚を、養殖用の生けすで寿司ネタにできるサイズにまで畜養。限りある海洋資源の保全と、商品の高付加価値化による漁師さんへの還元につながる取り組みです。
○「KURAおさかなファーム株式会社」設立(2021年11月)
漁業の持続可能な発展と魚の安定供給を図るため、くら寿司の子会社として設立。主な事業内容は、国際的基準を満たしたオーガニック水産物として日本で初めて認証取得した「オーガニックはまち」の生産と卸売、そして、人手不足と労働環境改善を目指し、AIやIoTを活用した「スマート養殖」です。スマート養殖では、外部の生産者の方々へ養殖を委託し、同社が中長期契約で全量買い取りすることで、生産者の方々の収入安定化を図ります。これらを通じ、グループ内で生産から販売まで一気通貫の体制を構築し、安定した供給量確保とコスト管理を実現することで、お客様により高品質でリーズナブルなお寿司の提供を目指します。また、生産者の方々や漁協とも連携し、収益機会の提供と労働効率の改善を通じて、「若者の漁業就業」や「地方創生」への貢献にも取り組みます。